テーマ展「水府美術譚」WEBよもやま話 その7

web よもやまばなし~水府美術譚より~ シーズン4
 

その7 最終回 地元密着あれこれ~絵を愛することと地域(地元)を愛すること

みなさんこんにちは!フーテンの風狂野郎です。6月16日にスタートしたテーマ展も大詰めです。今回のテーマ展は地元に密着した史資料の収集や保存そして展示に努めてきた水戸市立博物館の資料を、展示させていただきました。地域、地元をテーマに、簡単なまとめをしてよもやま話の水府美術譚編(シーズン4)を終わりにしたいと思います。

おことわり~生来の怠け癖が出てしまい一週間に1回というペースは全くできず、青息吐息で7回、しかもここへ来て2ついっぺんに、では「おうちゃく者!」のそしりを免れませんね。大変申し訳ありません。

さて、江戸時代の水戸や茨城に関わる絵画を展示する仕事に携わるようになって気に留めるようになったこと。それは茨城の土地柄や風土についてです。特にここ、歴史館のある県都水戸。「みずのと」と漢字で表現するからには、水の豊かな生命力があふれだす、風光明媚なところだったのでしょう。水面を渡る自然の涼風に吹かれ、ふと、詩がうかんだり、この風景を描きとめたくなったり・・・・
水戸は日本の歴史を明らかにせんと『大日本史』を編さんしようとしたところです。探求心とか研究熱心な土地柄が醸成されていったのかもしれません。

会場の入口に茨城大学図書館で制作された「古地図と歩こう水戸の城下町マップ 幕末版」を掲出させていただきました。千波沼(湖)が干拓され、街を東西南北に行きかう自動車用の幅広い舗装された道が通る街中の様子や景観は、150年以上前とは大きく異なります。千波湖については次の当館のテーマ展Ⅲで取りあげますのでそちらをぜひご覧いただきたいのですが、一言だけ申し上げときますと、水戸駅の南口のペデストリアンデッキの下、バスやタクシー乗り場の所は千波湖の水がきていました。下市の魂消(たまげ)橋から西をみたらすぐ千波湖でした。水の豊かな所ゆえ林十江や萩谷遷喬が水鳥の画を描いています。

林十江 水鶏図(クイナ)

林十江 水鶏図(クイナ)

萩谷遷喬 水禽図(バン)

萩谷遷喬 水禽図(バン)

十江は葦の生える水辺を泳ぐクイナ、遷喬は沼地などで脚をふんばり、たくましく生きるバン(鷭)をそれぞれ描いています。

城下町だったころの水戸は、住んでる人たちの職種などで町の名が付けられているところがありました。例えば大工さんは大工町、金工の細工職人は白銀町、鷹師は鷹匠町というようにです。
昭和50年代の住居表示変更で昔からの旧町名が整理統合され、多くの名が地図上から消えました。その名を人々の記憶に留めようと水戸市内各地に「旧町名碑」が建っています。

よもやま話 その5で紹介した小泉斐は水戸市内も流れる那珂川の上流、黒羽に住んでいた人でした。水戸と黒羽は那珂川でつながっています。その証?が、水戸城下には遷喬の屋敷のあった下梅香の北側に黒羽根町という旧町名があり、黒羽の出身者が住んだ町とされています。

黒羽城北より那珂川を望む 黒羽向町

左は旧黒羽城の北側より那珂川の流れを見たところです。右は旧城山の西側に広がる古い町並みです~黒羽向町といいます。
水戸の下市(下町とも)は水戸初代藩主徳川頼房の時に湿地を埋め立てて造成された新しい城下町です。
北側が武家屋敷、南側が町人地でした。町人地を東西、そして南北に江戸街道と岩城相馬街道が通っていました。町人地の本七町目に生まれ、すぐ南の裡七町目に養子でうつった林十江や武家屋敷地の横竹隈に親子二代で住み、その後江戸へと移った立原翠軒と杏所の親子。翠軒・杏所の住んだ横竹隈(今の町名は柳町)は「此君堂跡(しくんどうあと)」の碑が建っています。此君堂は立原翠軒の書斎号であり、翠軒が開いた私塾の名前でもありました。此君は竹の別名です。「竹隈」にちなむ名前だったのです。

水府とも呼ばれた水戸の町。画の向こうにかつての城下町のよすがを捜して、そしてその雰囲気を少しでも次の世代につなげられればいいのではないかと思います。そうです、水府水戸は、水の町、文人高士が行き交った町素敵な町です。
またいつか、お会いしましょう。フーテンの風狂野郎でした。

そして、2018年4月に水戸市立博物館は展示を再開します。
また素敵な画に、今度はホームグラウンド、水戸市立博物館で会いに行って下さいね。

P.Sです・・・・
大銀杏
京成ホテルの前より銀杏坂下の大銀杏をのぞむ。戦災にも耐えた大銀杏。今の銀杏坂は明治になって開かれた新しい道です。交差する道の向こうに千波湖がもう見えていたのです。
想像してみて下さい。

お知らせ!
明日、7月30日(土)に展示解説をおこないます。時間は11:00と14:00最終回は、広くうすく、頭に「水戸」をいっぱいインプットして解説します。土用の丑の日、暑くなりそうですが、鰻を食べる前にもし、よろしければお付き合いいただければさいわいです。