茨城大学地域連携講座(9月16日)のご案内

焼け跡からの生存権-闇市と福祉国家- 

講師 茨城大学准教授 冨江 直子 氏

平成29年9月16日(土)14:00~16:00 当館・講堂

 

敗戦直後の日本において、焼け跡の飢餓と混乱に対して国家の生活保障は機能しませんでした。国家が国民の肉体的生存すら保障できない状況のなかで、人びとはどのように自らの生存と生活を守ったのでしょうか。法の枠内で生きていくことができないのなら、法の外に生き延びる道を求めるしかなかったのです。焼け跡に自然発生的に生まれた闇市は、民衆による〈非合法だが正当な〉生存戦略でした。法理を越える道理としての生存権が社会的に正当性を帯びた一時期がありました。

 

やがて、民衆の自生的な生存戦略は、国家の秩序の枠内に回収されていきました。闇市の終焉の後には、生活保護が生存の最後の砦としての機能を引き受けていくはずです。少なくとも形式上は、憲法25条と生活保護法が、法を犯さなくても餓死しないことをすべての「国民」に対して保証したのです。

 

本講座では、闇市の成立から終焉までの短い時代を、〈生存権の社会史〉の視点から見ていきます。自生的生活保障としての闇市の成立、闇市をめぐる複数の「生きるため」の矛盾とせめぎあい、そしてそれらに対する「国家」の振る舞いを跡づけてみましょう。その動態のなかに、戦後日本の福祉国家がその出発点において背負ったはずの使命を看取することができるのではないかと思います。

 

定員:200名(当日9:30より整理券配布) 

お気軽にご参加下さい